2014年

8月

10日

第59回まひる野賞のご紹介(8月号より)

「まひる野賞」は毎年、会員から30首一組を公募し、すぐれた作品を表彰するものです。今年は北海道の 北山あさひ さんの震災詠「報道部にて」が選ばれました。

 

 わたくしを心臓が呼ぶ東北に緊急地震速報起てり

 NHK国会中継震え出し周りを見ればみなけものの目

 ブザーより一秒早く回り出すパトランプ、赤、誰か走ってる

 「震度7!震度7!」と叫んでる桜田そんな声が出るのか

 沸騰を始める報道フロアーを黙々と撮るカメラマ居り

 一枚のFAX抱いて駆けていく 字幕を作る 津波が来ると

 訓練になかったこんな真っ暗で長い廊下がんばれがんばれ

 緊急特別番組(カットイン)始まるまでのカウントをしているヒロコの声の確

 かさ

 札幌は札幌の今日を生きるべし明日の朝までCMは無い

 片隅のテレビモニターいっぱいに東北の黒 キタヤマ!と声

 日本中のお天気カメラ海へ向き最初と最後を見届けようと

 ひたひたと函館・釧路・浦河の街に水来る音のないみず

 低賃金に辞めた日村が釧路から電話レポートしていて泣ける

 電波塔かぜをころして立っている命を何にも例えられない

 報道部に生きているひと躍動しかなしき夜のかなしき島だ

 フロアーに熱い身体で集まって明日のことを話し始める

 卓上に闇があるかと思ったら応援用おにぎり三十個

 東北のすべてのアナウンサーたちへ昨日より濃い影の伸びゆく

 いくつものベッド浮かんでいるような静かな夜を眠るほかなし

 届くのか ひろげる腕もないままに巨大アンテナいま空の色

 奥尻島青苗地区の友達へメール これはさみどりの鳩

 奥尻の海産物を食べられない先輩がいる十八年経っても

 友達と交わすメールの顔文字は怯えてばかり あのとき死なず

 ACの間に浮上して息を吸う日本中のテレビマン

 ゲンパツガバクハツシタと声がして見れば酒井の小さなからだ

 これやばいこれはやばいよ日テレの独占だよってお前黙れよ

 みんなただ突っ立てたよ沢山のモニターにその顔を照らして

 終わらせることのできないものを生み私にもあなたにも廃墟

 ゆっくりとピンと合わせば静かなる泊原発まだ雪の中

 抱きしめるようにホワイトボード消す三月の報道部 死なない

 

まひる野

 東京に本部を置く全国的な短歌の会です。窪田空穂の第一歌集「まひる野」から命名され、生活実感を尊重し、詩としての豊かな表現力を希求します。自然や日常を細やかな温かい視線で詠んだ歌が特徴です。詳しくは「まひる野」のページをご覧ください。

 

<仙台 月例会について>

毎月第二土曜日に仙台市内の市民センターの一室で午後一時から概ね二時間程度です。流れを紹介します。

 

(1)その月の決められた主題に関する歌1首以上を含む自作3首の歌を提出します。

(2)作者を伏せてプリントアウトしたものが当日配布されます。自分以外の方の歌をそこで初めて目にすることになります。

(3)全部で20~30首になります。リズムを確かめながら音読します。意外に難しい漢字や短歌独特の言い回しに出会うことも学びの一つです。

(4)20~30分程度をかけて、各自で、自分の”お気に入り(共感、卓越、感嘆、臨場感などを感じる歌)”を5~7首程選びます。その中でも”これは!”という歌一首を特選として選びます。

(5)特選2点、”お気に入り”1点として集計し、合計得点の高い歌から互評します。互評というのは選んだ理由を自分なりに説明するということです。

(6)互評の過程で多くのことを学びます。技術的には不十分でも感性として高く評価されることもあります。またどんなに整った歌でも共感を覚えない、伝わらない、ということで点数が入らないということもあります。自分の歌がどう評価されるか、ということに目が行きがちですが、実は自分が選んだ理由をどう説明するか、ということが非常に大切です。

(7)一通り互評が終わると、各種の情報交換を行い終了です。高得点でも賞金はでません(笑)。次回の日程、主題など出席者で話し合って決めます。「○○に関する歌」という具合です。